①13:45〜
・201会議室
公立図書館における「有害図書」の取扱いに関する一考察 -福岡県内での実態調査をふまえて-
安光裕子(やすみつ ひろこ)山口県立大学国際文化学部
平成27年9月,福岡県内の公立図書館を対象に,資料が福岡県青少年健全育成条例に基づいて「有害図書」の指定を受けた場合の取扱いに関する実態調査を実施した。その結果,所蔵している資料が「有害図書」に指定された場合に,除籍・廃棄すると回答した図書館があるなど,いくつかの問題点が浮上した。本発表では,福岡県内の公立図書館における「有害図書」の取扱いの現状と課題を明らかにする。
・202会議室
出版者名の解析と典拠レコード構築の試み
石井保廣(いしい やすひろ)別府大学 客員教授(発表者)
矢崎美香(やざき みか)九州女子大学 准教授
泉 江莉(いずみ えり)別府大学附属図書館
NACSIS-CATは、海外130以上の機関と国公私立大学1200以上が参加する、わが国最大の書誌ユーティリティである。このシステムには出版者典拠レコードがなく、特に洋書の出版者名にユレが生じている。ユレの解析とローカルシステムに出版者典拠レコードを構築する一試案を報告したい。
②14:15〜
・201会議室
「教えられる」から自ら「学ぶ」へ促す一案−司書(教諭)講義の実践から−
宍道 勉(しんじ つとむ)鳥取大学 非常勤講師
昨年(本学会平成26年度春季研究発表会)の続編であり,講義実践の具体例を挙げ,日本のあらゆる教育がその根元に於いて誤りであることを実践例で示したい。日本で言う「教える」とは教える側の「使役動詞」であり,「教えられる」側は「させられる」あるいは「受け身」の関係である。それは小中高等学校そして大学(になっても)を終えた後,その他社会の教育機関でもその形式は変わらない。それが「受け身」の日本人形成の礎である.本論は「教えられる」苦痛を解放し自ら「学ぶ」楽しさに促す,その具体例を報告する。
・202会議室
「学生が絵を描く授業評価アンケート」の司書教諭課程の科目ごとの分析
岡田大輔(おかだ だいすけ)長崎大学 教授
「学生が学校図書館の絵を描く授業評価アンケート」を行ってきた。教職課程の”学校図書館員の重要性を理解する”授業では、「絵の中に学校図書館員を描いた学生が、授業の最初と最後でどの程度増加したか」で授業の評価を試みた。しかし、司書教諭課程において、「情報メディアの活用」であれば”PC”が指標となる可能性があるが、「読書と豊かな人間性」では何が変化すればいいか。12大学の調査から科目ごとの分析を試みた。
③14:45〜
・201会議室
文化的遺産としての新聞を対象としたブラウジング指向アーカイブKENBUNの構築
伊藤晃太(いとう こうた)大分大学工学部知能情報システム工学科 学部生(発表者)
中島 誠(なかしま まこと)大分大学工学部知能情報システム工学科 教授
現在,複数の図書館に導入している,新聞アーカイブKENBUNの構築方法について論ずる。近年の新聞アーカイブの多くは,容易な記事へのアクセス法としてキーワードの入力を想定した検索を主体に設計されるため,実現に多大なコストが必要となる。ブラウジングを主体とするKENBUNでは,紙面画像の提示方法の工夫とそれを眺め回すためのインタフェースデザインの実現により,アーカイブを迅速に構築で,新しい発見のある記事の探し方もできる。
・202会議室
図書館の資料選択の論理:『絶歌』の所蔵状況を通じて
大谷康晴(おおたに やすはる)日本女子大学 准教授(発表者)
池内 淳(いけうち あつし)筑波大学准教授
安形 輝(あがた てる)亜細亜大学 准教授
大場博幸(おおば ひろゆき)文教大学 准教授
『絶歌: 神戸連続児童殺傷事件』について2015年6月17日から9月10日までの所蔵調査に基づくと,図書館は『絶歌』の所蔵や提供に慎重である。図書館資料の提供については,憲法学や「図書館の自由に関する宣言」から議論が行われてきた。しかし,今回は,収集拒否の要求が寄せられたこと,資料収集基準に基づいて受入対象外とした図書館があったことなどを見ると,収集における資料選択の論理が希薄であり,検討が必要である。
④15:30〜
・201会議室
「情報サービス演習」の構成モデルに関する研究
小田光宏(おだ みつひろ)青山学院大学教育人間科学部
司書養成の現行科目「情報サービス演習」の構成モデルに関する考察を行う。これにより,旧教育課程の「レファレンスサービス演習」と「情報検索演習」の単純な合体状態を脱し,現在の情報環境に適した情報サービス技能の養成に資する演習科目の開発を目指す。具体的には,養成の理念と制度,演習の内容と方法,教育及び社会の情報環境の変化といった側面に対して,行政文書,シラバス,教科書などを分析した結果を報告する。
・202会議室
まちの記憶を記録する:デジタルアーカイブの視点から
遠藤宣子(えんどう のぶこ)山口大学 非常勤講師
今後の地域資料の収集、保存等について、収集主体やデジタルアーカイブの視点を含めたから諸問題を整理し考察を行う。事例として、行政機関ではないボランティアグループが、市史編纂 や史料収集に漏れた「まちの記憶」をオーラルヒストリーを用いて再収集する過程をケーススタディとして分析し、図書館との連携の可能性についても言及する。
⑤16:00〜
・201会議室
『図書館情報資源概論の教材作成についての考察』~ピース又吉作品を題材として~
東野善男(ひがしの よしお)筑紫女学園大学 図書館課係長
図書館には図書だけでなく様々な種類の資料がある。大学で受け持つ授業科目「図書館情報資源概論」では、資料別にキーワードを説明するだけでなく、身近な具体例を出した上で、資料同士のつながりが体感できることを目指している。本稿では親しみやすい作品である読書芸人「ピース又吉」(芥川賞作家「又吉直樹」)を題材としてとりあげ、考察をすすめてみたい。
・202会議室
長崎県内の「学校司書」等配置状況調査 Ⅲ −平成27年度市町立小中学校の現状と実態−
松尾満里子(まつお まりこ)長崎県支部 元学校司書
隔年調査の3回目となる今年は、長崎県内21自治体へのアンケート調査のほかに、学校司書等への個人面談聞き取り調査(10自治体25人)も実施した。配置学校数だけは急増しているが、働く人の側から見れば、非正規雇用であり複数校兼務や短時間勤務である。これは長崎県に限ったことではなく、全国的な傾向と言えよう。限られた時間の中で何ができて、何ができていないのか、どのような思いで仕事をしているのか、その一部を報告する。