14:00〜

(1)鹿児島大学附属図書館学生サポーター活動および他大学の学生サポーターとの交流について

高木 貞治(鹿児島大学学術情報部)

  平成27年度より、鹿児島大学附属図書館では図書館サポーター制度を立ち上げ、10数名の学生が参加し、活動を開始した。館長懇談会への参加、選書ツアー、図書の企画展示およびPOPの作成、オープンキャンパスでの高校生・保護者への図書館案内、ビブリオバトル全国大会地区決戦の開催、書架での分類および件名の見出し板の作成、卒論作成体験発表会等々、1年目から積極的に活動を展開した。平成28年度も新たなメンバーを加えて継続的に活動している。

また、平成27年12月には「鹿児島県内大学図書館サポーターの集い」を開催し、短時間ではあったが、県内の大学図書館サポーターの初めての情報交換の場を作った。平成28年10月には鹿児島県大学図書館協議会が主催となり、「鹿児島県大学図書館学生協働ワークショップ」を開催した。これには鹿児島県内外の15機関より学生21名、教職員33名の参加者があった。鹿児島県内の各大学の学生図書館サポーターと職員が一同に会し、学生協働の意義と有効性を考え、またお互いの活動状況を紹介し、情報交換を行った。

以上のような、図書館サポーターの活動の目的と、制度の立ち上げの経緯、活動の展開、職員と学生との協働および他大学との交流等について報告したい。

 

14:30〜

(2)アンカードインストラクションに基づく大学図書館員向けビデオ教材の開発

渡邊 由紀子(わたなべ ゆきこ) 九州大学附属図書館・利用支援課長/准教授

兵藤 健志(九州大学附属図書館)、山田 政寛(九州大学基幹教育院)

大学教育改革の流れの中で,学生の主体的な学修のベースとなる大学図書館の機能強化が求められている。大学図書館が学修環境を充実させるためには,コンテンツ,学習空間,人的支援を有機的に連携させることが重要である。そして,大学図書館が学習支援を有効に行うためには,教育・学習支援に関する知識・スキルを大学図書館員が学ぶ必要がある。しかし,大学図書館員が集合研修やeラーニングで教育・学習支援に関する知識やスキルを習得しても,実際の場面で活用するという,いわゆる転移がされにくい状況が起きる。これは,知識が活用される文脈に錨付け(Anchored)されないために起こると考えられている。

そこで,本研究では,学習支援を担当する大学図書館員を対象としたeラーニングの学習教材を開発し評価するとともに,それらの教材を通じて学んだ知識やスキルの転移を支援するために,学習科学の研究知見であるアンカードインストラクションを活用したストーリーベースのビデオ教材を開発し評価することを目的としているが,本発表では,後者のストーリーベースのビデオ教材の開発について報告する。

開発にあたっては,大学図書館員が図書館で実際に行われている学習支援の状況をストーリー化し,そのストーリーの中で,eラーニングの学習教材で学んだ内容を活用して問題解決を行い,活用すべき知識とスキルが実践的な利用文脈と関連付くことを目指した。今回開発したビデオ教材は,情報リテラシー教育編,学生サポーター編,ラーニングコモンズ編の3タイプであり,九州大学附属図書館の全面的な協力を得て,映像制作会社に委託し制作を進めた。

15:15〜

(2)占領下沖縄における学校図書館文化を支えた女性教師たち

漢那 憲治(かんな けんじ)沖縄国際大学南東文化研究所特別研究員

戦後沖縄における学校図書館が設置されていくのは1950年代後半に入ってからと言われる。その背景となっている状況(学力問題、沖縄教員等内地派遣研究制度、夏期現職教員講習会、琉米文化会館の図書館活動等)を探り、1965年に「学校図書館法」が成立するまでの教師たちの取り組みを概観する。その後、琉球政府文教局によって「学校図書館モデル校」制度が始められ、各モデル校に司書教諭が配置される。そこで活躍した教師の中から女性教師たちを取り上げて考察を試みる。

15:45〜

(4)まちの歴史を伝えるために:資料収集と保存の再検討

遠藤 宣子(えんどう のぶこ)山口大学 非常勤講師

「まちの歴史」をデジタル技術等によって収集する作業からの実践報告。

地方における「まちづくり」や「学校等における地域学習」等の場では、歴史的な一次史料を必要とすることが多く、図書館資料では満足できない現状がある。そのため、筆者らは、地方の文化的資源を、デジタルアーカイブの手法を用いた原資料の収集や保存を始めた。

対象となるのは、公的な記録・文書ではなく、民間の記録である。収集対象(事項、ひと等等)や種類は多岐にわたることが想定されたため、仮の収集方針や基準を作成するために、次のような手順で事前調査を行った。

「観光ボランティア」「まちづくり」に関係した団体に所属者を対象に、以下について簡

単な質問紙調査を記入後、質問紙を参考に面接調査を行った。

1.情報の収集方法、過程 2.情報源の種類と判断基準 3.どのように使用・提示するか

これらから抽出されたKW等や従来の資料収集方法を参考に、資料の収集、記録の記述、保

存方法を検討した。

一般的な資料収集ではなく、特定地域に対応した収集・保存、提示方法を模索する。